ASDの子は多種多様な困り感があり、同じ診断名がついていてもその症状は千差万別です。今回は聴覚過敏について書いていこうと思います。
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ASD (自閉スペクトラム症)
ASDとは、神経発達の障害の一つであり、個人の社会的な相互作用やコミュニケーション能力、または興味や行動の特徴に問題がある状態を指します。ASDの症状や重症度は個人によって異なりますが、一般的には社会的なやり取りや感覚処理の困難さが特徴的です。
我が家は息子2人(恐らく夫も)がASDですが、共通している困り感の一つに聴覚過敏があります。
聴覚過敏
聴覚過敏は、音に対して過敏に反応したり、不快感を示す状態を指します。ASDの子供たちの中には、一般的な音や周囲の騒音に対して極度の敏感さを持つ場合があります。この聴覚過敏は、騒がしい場所や音の多い環境で不快感やストレスを引き起こすことがあります。
聴覚過敏の症状は個人によって異なりますが、以下のような特徴が見られることがあります。
- 騒がしい場所や人混みにいると不安やイライラを感じる
- 高い音や鋭い音に対して過敏に反応する
- 特定の音に対して強い嫌悪感や恐怖感を示す
- 耳をふさぎたがったり、頭を覆いたがったりする
息子たちの場合は複数の人の声(特に怒った声)や、楽器の音、今の時期だと花火の音が苦手で恐怖感を覚えるようです。長男は保育園時代が酷かったのですが、小学2年生となった今でも体調等によって聴覚過敏が出るようです。年中の次男は長男より程度は軽いですが、やはり大きい音は全般的に苦手です。
聴覚過敏への対応方法(イヤーマフ)
聴覚過敏を始めとした感覚の過敏さは年齢が上がるにつれて治まってくる場合もあるようです。
とはいえ、治まるまでお友達の元気な声や発表会のピアノの音にひたすら耐えて生活しなさいというのは不憫です。本人にはどうしようもないことであり、この年齢ならではの経験できる機会を損失することになります。
聴覚過敏の対応策としてよく知られているのが、イヤーマフというアイテムです。
イヤーマフは耳を保護するためのグッズであり、騒音や音の刺激を遮断し、聴覚過敏の症状を軽減することができます。
息子は2人ともイヤーマフを持っていますが、メリットとデメリットを感じたのでそれぞれご紹介します。
イヤーマフのメリット
我が家はイヤーマフによってメンタルが安定した部分が大きいので、メリットを大きく感じています。
集中力の向上
聴覚過敏による過剰な刺激は、子どもの注意力や集中力に大きな影響を与えることがあります。イヤーマフを使用することによって、外部の騒音を遮断することができ、集中力の向上に繋がります。集中力が高まることで、学習にスムーズに取り掛かれるようになりました。
入学後イヤーマフを導入。
学校の放送音や音楽の時間が「音が大きくて怖い」と話していましたが、
イヤーマフを付けるようになってから授業に集中しやすくなったようです。
ストレスの軽減
音に過敏に反応し続けると大きなストレスを感じ、定型発達の子より疲労しやすくなります。外部からの音刺激を軽減することでストレスを軽減し、心理的にも安定するので疲労を減らすことがきます。
疲労状態になるとそのまま不穏状態になるので、穏やかな日常を送る上では割と死活問題です。
年中で家庭用として導入。
保育園でも園用のイヤーマフがあり、時々利用している模様。
音に対して「嫌だ」と感じたら自分から装着。
安心感からか不穏状態が減少傾向。
苦手なイベントにも参加
大きな音がするイベントは全てNGでした。しかし、イヤーマフに対する信頼と安心感が本人たちに定着してからは花火大会を楽しんだり、野球観戦を経験することができました。
どちらも最終的には途中退場になったのですが、少しの時間でも楽しめたことが自信にもなったようで、テレビで見たりすると「これ、行ったよね!」と嬉しそうに話してくれます。
これからも無理のない範囲で色んなことを経験させてあげられたら良いなと思います。
イヤーマフのデメリット
我が家のケースではメリットが大きいのですが、デメリットも考えられます。
聴覚過敏をさらに刺激する可能性あり
イヤーマフは外部の音を遮断するために使用されますが、子どもによっては逆効果になることもあります。感覚の過敏がある子はイヤーマフを装着することで、耳にかかる圧力や遮断感によってさらなる不快感を感じることがあり、聴覚過敏の症状を悪化させる可能性があるため注意です。
コミュニケーションが取りにくい
周りの音が聞こえにくくなるため、コミュニケーションに支障をきたすことがあります。我が家では会話している時にイヤーマフを装着することはありませんが、常時装着するのは止めた方がよさそうです。装着中は周囲の子も話しかけづらいでしょうしね。
大事な情報が聞こえない
これが一番の懸念事項なのですが、イヤーマフを装着することで緊急時の重要な音情報を聞き逃す可能性があります。雑踏など人が多いと全ての会話音を拾ってしまうこともあるので装着したがりますが、そういった場所ではなおさら親の声が聞こえないかもしれない状況は作りたくないものです。
私がコロナ後遺症になってそういう場所へ出かける機会も減ったので、今はあまり問題になっていません。大きくなって一人で行動するようになったら、今一度注意が必要だと思っています。
イヤーマフの種類
イヤーマフには、さまざまな種類があり、特徴は以下のようなものがあります。
- 耳を完全に覆うタイプのもの
- ソフトなクッションがついているもの
- 音量調節機能がついているもの
我が家が使用しているのは楽天で購入したこれです。
注文から翌々日には届いたし、お値段もお手頃です。長男は頭囲が55cmありますがまだ使えています。
完全に音を遮蔽するわけではなく、近くで話しかけると会話も可能です。
イヤーマフはASDっ子の聴覚過敏の症状を軽減するために役立つグッズです。
長男は一時期シャワーの刺激も嫌がるほどの感覚過敏がありましたが、お友達が使っているのを見ていたのもあり抵抗感薄く自分から欲しがって購入に至りました。
周囲に付けている子がいたり、動画等で使用しているのを見せてあげることで感覚過敏で嫌がる子にももしかしたら導入できるかもです。
導入には周囲の理解も必要
今では次男の保育園でも積極的に使用されたり長男の小学校特別支援級でも問題なく使用できますが、長男の保育園時代は使用を認めてもらえませんでした。
長男は年少の発表会で、ステージ上で両耳を塞ぎ険しい顔をしてひたすら耐えていました。当時は未診断であり私も聴覚過敏という概念が無かったので、本人がどれだけ苦しんでいるのか気づいてあげられませんでした。
年中で診断がつき、次の発表会では辛さを軽減してあげられないかと思いイヤーマフの情報にたどり着き、主任の先生に装着の許可をお願いしてみました。
が、「長男くんだけそういうのを付けていると、周りの子もどうしたんだろう?ってなるし、今年の練習ではそこまで困り感は感じられないので…」と断られました。
今振り返ると「周りの子に長男にイヤーマフが必要なのを指導するのは先生の役目やん。じゃあうちの子は本人の頑張りにお任せで耐えるしかないの?」と思いますが、その時は「そういうものなのか…」と諦めてしまいました。
結局、発表会では年少の時よりマシだったものの音が大きい場面ではやはり耳を塞いで凌いでいました。
長男の聴覚過敏は療育のおかげもあってか年長ではかなり落ち着き、発表会では耳を塞がず参加できました。年少時は発表会の練習を嫌がりすぎて毎日の登園がとても大変だったので、とても感慨深かったです。
ASDっ子が本来の”その子”らしく生きるには、周囲の理解ってとても大事です。
親がまずは一番の理解者で在れるように、今後も寄り添いスキルを磨いていく所存です。
おまけ:コロナ後遺症の音過敏・ストレス緩和にも
大人の女性である私も、このイヤーマフは使用できました。
何に使用したかというと、コロナ後遺症の症状の一つに音・会話を聞いていると疲弊するというものがありまして、その症状の緩和に役立ちました。
ADHDの子は、動き回っていない時はひたすら喋っていることがあります。
一人でもなかなかですが、二人いるとサラウンドでずっと会話を耳・脳が拾い続けることになり、収集した音の処理で疲弊→倦怠感症状が悪化します。
イヤーマフをすると小さい音は拾わなくなるので、症状が幾分か楽になりました。
子ども達の声は結構大きいので話が聞こえないということもなく、「お母さん今日少ししんどいから、コレ貸してね」とイヤーマフを装着して会話します。
最近は音過敏が改善してきたので使用頻度は減りましたが、いつか頼らずに済む日がくれば良いなと思います。